雪花-YUKIBANA-

リナが働く子供服の店は、公園から程近い場所にあった。

毎日のように足を運ぶのだって、まったく苦にならないくらい、すぐ近くに。


最初は彼女の美しさに惹かれていた兄貴も、リナの内面の魅力を知るたびに、本気で愛するようになっていった。


彼女のことを、「不思議な女性だ」といつも言っていたよ。

子供みたいに無邪気かと思えば、はっとするほど強いものを内に秘めていたりする。


けれど彼らが男女の仲に発展するには、障害があったんだ。


ふたりには、すでにそれぞれ恋人がいた。


リナの相手については、俺は詳しく知らない。

どうもかなり長く付き合っていたみたいだけど。


そして、兄貴の恋人というのは

――そう、お前の母親だ。


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