雪花-YUKIBANA-
桜子から何の連絡もないまま、一ヶ月が過ぎた。
その間、僕は彼女の職場に電話をしたり、
高校時代の友人をあたったりしてみたけれど、
行方をつかむことはできなかった。
毎朝目覚めるときには、となりに柔らかな温もりを探した。
「おかえり」という子供みたいな声が聞きたくて、
夜中に何度も玄関を開けてみた。
そしてそのたび打ちのめされ、心が崩れる音を聞いた。
けど、もし桜子が戻ってきてくれたとして、
僕は今までのように彼女を愛せるんだろうか。
愛してもいいんだろうか。
自分がどうするべきなのかわからなかった。
ただ、僕は、
桜子に会いたい。