雪花-YUKIBANA-
唐突に、愛しさが胸もとを突き上げた。
狂おしいほどの愛おしさ。
息がつまる。
彼女に歩み寄り、その少し痩せた頬に触れる。
――ああ、
……以前も同じようなことがあったっけ。
あのときは、家出していたのは僕の方だった。
そして彼女のもとに戻った僕は、こんな風に、寝顔に触れたんだ……。
彼女のまぶたがピクッと動いた。
なつかしい、けれどいつも心の中にあったミルクティー色の瞳が、僕を映す。
……やっと会えた。
この3ヶ月間、夢の中でしか会えなかった人。
ダメだ……。
何か言いたいのに、気持ちが次から次にあふれて追いつかない。
胸がいっぱいで、何も言えない。