雪花-YUKIBANA-
桜子に、話さなきゃいけないことが、いっぱいあったんだ。
僕たちは兄妹かもしれないんだって。
この恋は罪なのかもしれないって。
ねえ、どうするべきなんだろう?
それを君と話し合わなきゃいけなかった。
――けれど、もういい。
僕の両腕は今、がむしゃらに君を抱きしめている。
この温もり以上に大切なものなんか、
何もない――
「……子供、産んでよ」
僕は言った。
「俺たちの赤ちゃん。いるんだろ?」
「……どうして、知ってるの?」
「君を運んでくれた人から聞いたんだ。妊娠4ヶ月だって」
そう、義弘が僕に教えてくれたのは、そのことだった。
桜子の体に宿った、
愛されるべき、新しい命。