雪花-YUKIBANA-
「たとえ兄妹でも……桜子を愛しています」
愛してるなんて言葉、僕は使うことがないと思ってた。
もっと特別で、もっと恥ずかしくて、
僕なんかには縁のない言葉だと思ってた。
だけど、彼女を愛してるから。
それ以外の言葉が、今は見つからないから。
「――そうか」
強い口調で叔父が言った。
「お前の気持ちがそこまで固まってるなら、俺も協力する」
その言葉に涙が出そうになる。
たったひとりで抱えてきたものが、ふいに軽くなったような。
「けどな、拓人。子供のことだけは、お前の気持ちでどうこうなるもんじゃない」
俺もこんなことは言いたくないけど、と叔父は苦しそうに言った。
近親間の妊娠が子供に与える影響は否めない。
いくら愛していても、どうしようもないこと。
わかりすぎたその事実に、こんどは別の涙がにじんだ。