雪花-YUKIBANA-
わかってる。
わかってるんだ。
考えたくないけれど。
兄妹じゃない可能性を、信じたいけれど。
でも、こっちの可能性からも、逃げちゃいけない。
「もし……そうだったときは……」
――子供はあきらめます。
なんて、やっぱり僕の口から言えるはずがなかった。
叔父は長い長いため息をついて、そしてつぶやいた。
「心を鬼にして言う。
もしもおまえたちが兄妹だったら、そのときはあきらめなきゃいけないんだぞ?
子供のためを思えばこその決断だ」
そう言って叔父は言葉をつまらせた。
受話器ごしにしゃくり上げる声が聞こえる。
……心を鬼になんか、全然できてないじゃん。
僕も受話器を握ったまま、肩を震わせた。
しばらくすると叔父は鼻をすすり、照れたように笑った。
「だーいじょうぶだって、拓人!きっとお前ら、兄妹なんかじゃないからさ!」