雪花-YUKIBANA-
桜子のおめでたを祝してパーティを開こう、
と突然コバが言い出した。
もちろん僕たちは二つ返事でOKだ。
約束の日曜日、コバはピカピカに磨きあげた真っ白の車で、僕たちを迎えにきた。
「桜子、準備できた?」
「ちょっと待って」
玄関の鏡の前で、全身を確認する桜子。
僕は彼女の首にウールのマフラーを巻きつける。
外に出ると冷たい北風が横顔をなでた。
肌がぎゅっと縮こまりそうなほどに寒い、冬の午後。
コバの車の助手席に、見知らぬ女の人の姿を見つけ、僕たちは目をぱちくりさせた。
「あの人は……?」
「いや、あの」
と口ごもるコバ。
「あ!もしかして――」
例の好きな人?!
と、ふたりの声が見事に重なる。
コバは顔をピンクに染めて、口元をほころばせた。
「はい」