雪花-YUKIBANA-
「さあ、行こう。亜季さんの子供たちも待ってるし」
「……うん!」
僕たちは手をつないで並木道を歩き始める。
少し後ろをコバと亜季さんが歩く。
深呼吸して、空を見た。
葉のない街路樹は空を遮ることはなく、
弱々しい陽の光もしっかりと地上まで届く。
桜子が大通りの方に手を振った。
子供を3人連れた店長夫婦が、向こう側で手を振っていた。
貸しきりの店内は、前に来たときとは打って変わって華やかだった。
折り紙で作ったカラフルな飾りつけ、ピンク色のテーブルクロス、
そして店長さんの手には大輪の花束。
僕たちは歓声をあげながら店の中を見回した。