雪花-YUKIBANA-

改めて店内を見回すと、その賑やかな飾り付けはまるでお遊戯会のようだった。


「僕たちがやったんだよ!」


と亜季さんの子供が得意げに言った。

なるほど、納得だ。



亜季さんの子供は女の子がふたり、そして男の子がひとり。


長男の陸くんはもう小学校に通っているというから、驚いた。


「僕のクラスでお誕生日会するときも、こうやって飾るんだ」

「あのねー、この絵ね、あたしが描いたの」


子供たちが僕のまわりに集まって、身振り手振りで話し出す。


僕は小さい子から好かれるタイプじゃないはずなのに、なぜか彼らには気に入られたらしい。

というより、ターゲットにされたという方が正解だろうか。


しだいにテンションの上がってきた彼らに、服を引っ張られたりキックされたり、

やりたい放題される僕を見てみんなが笑う。


亜季さんが子供たちをたしなめても、コバが

「もっとやれ」

と煽るから収集がつかない。

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