雪花-YUKIBANA-

店長さんが朝から準備してくれたという豪華な料理を、みんなで運んだ。


子供たちのためのお子様ランチも登場して、テーブルはいっきに華やかになる。


「えー、皆さん」


ビールの入ったグラスを持ってコバが立ち上がった。


「このたびはお集まりいただき……」

「なんであんたが仕切るわけ?」


亜季さんの指摘に、陸くんが「コバ、怒られたー」と笑う。

すると下の子たちも続いて「怒られたー」と盛り上がる。


渋々と席に着いたコバに、瓶ビールを差し出して僕は言った。


「子供たちとすっかり打ち解けてるんだな」


コバは手の中のビールを飲み干して、空になったグラスを差し出す。


「ていうか完全に俺、オモチャ扱いっすよ」


「つまり」と横から桜子が口をはさんだ。


「コバくんも拓人と同じで、子供から遊ばれちゃうタイプのお父さんなのね」


僕とコバは互いに見合って顔をしかめた。

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