雪花-YUKIBANA-

僕は声をあげて泣いた。

彼女が逝ってしまってから、初めて流す涙だった。


そして泣き叫びながら、僕の頬を拭いてくれる桜子はどこにもいないのだと、痛感した。



涙を流しすぎて、体がどうにかなりそうだ。

指先が痺れ、息が途切れ、それでも僕は泣きじゃくった。


この胸の哀しみは、たぶんずっと消えない……。

これからも続いていくのだろう。


けれど、それでいいのだと思う。



僕は生きてきた。


桜子のいない20年を生きてきて、やっと痛みに涙を流すことができた。



これからも、僕は生きる。


あと何十年か生きて、この痛みと寄り添って、

何度も涙を流して――




そしていつか桜子のもとに行ったとき


心から笑えるようになっていれば

それでいい。