アースルーリンドの騎士 番外編ファントレイユとの出会い
「・・・期待外れでしたか?

もっと屈強な男をお望みのようだ」

そう告げる彼の声は羽毛のように柔らかく、

その癖隙が、無かった。

間近で良く見ると、確かに鍛え上げられた

武人のような、引き締まった

しなやかな体付きのようだった。

ソルジェニーは慌てて首を横に振ると

つぶやいた。

「・・・貴方のように綺麗な男性は、

初めて見たので、驚いただけです」

だがファントレイユは朗らかに、笑った。

「・・・冗談でしょう?

確か近衛一の使い手のギデオンは、

貴方のいとこの筈だ。

親交も厚いと聞いています。

彼がどれ程近衛で目立つか、

貴方はご存じ無い?

彼と比べて、

私の容姿なんてどれ程のものです?

彼を見慣れている貴方が私に、

そんな事を言うなんて」

言われて、彼は

いとこのギデオンを、思い浮かべた。

そう言えば彼も、近衛だった。

確かに、同じ血を引く彼は自分に良く似た

雰囲気の顔立ちで、金髪に青緑の瞳の、

素晴らしく目立つ容貌の上に、

その顔立ちは女性のように綺麗だった。

ソルジェニーは慌てて、付け足した。

「あの・・・つまり、

身内以外で・・・という意味です」

ファントレイユはようやく、ああ、と、

うっとりするような美貌の上に

微笑みを浮かべて、頷いた。

ソルジェニーは、慌ててつけ足した。

「それに貴方は、

ギデオンとは全然雰囲気が、違うし」

ファントレイユは少しからかうように

覗き込むと

「・・・そりゃあ、彼は本当に、

あの容姿に似合わず、戦うのが大好きで剣を、

離さない猛者ですからね」






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