‐君と見た月‐
小さな音と共に一瞬だけ触れた唇。
それが私にとっても君にとっても
初めてのキスだったんだね。
「「うわぁっ」」
あまりの恥ずかしさに二人同時に声を上げ、二人同時に顔を隠した。
「「…ははは」」
でもやっぱり嬉しくて二人同時に微笑んだ。
小さいけど大きい幸せ。
「…行こうか?」
君も恥ずかしかったの?
「うん!」
分からないけど、私は恥ずかしかった。
「はい!」
差し出された君の大きな左手に自分の右手を重ねる。
指の間に隙間がなくなるくらいキツク手を繋ぐ。
「行こー!」
最近になってやっと手を繋ぐことは慣れてきた。