‐君と見た月‐

小さな音と共に一瞬だけ触れた唇。

それが私にとっても君にとっても

初めてのキスだったんだね。

「「うわぁっ」」

あまりの恥ずかしさに二人同時に声を上げ、二人同時に顔を隠した。

「「…ははは」」

でもやっぱり嬉しくて二人同時に微笑んだ。

小さいけど大きい幸せ。

「…行こうか?」

君も恥ずかしかったの?

「うん!」

分からないけど、私は恥ずかしかった。

「はい!」

差し出された君の大きな左手に自分の右手を重ねる。

指の間に隙間がなくなるくらいキツク手を繋ぐ。

「行こー!」

最近になってやっと手を繋ぐことは慣れてきた。


< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop