ラスト・ゲーム
「………別に」
声が、かすれる。
何だかその場にいたたまれなくなって、下に置いた目線を窓の外へと流した。
「元ちゃん~だめなんだぞ、好きな子は大事にしなきゃ!」
翔太の少しおどけた言葉。
「…きじゃねぇよ」
「…え?」
それをキッカケに、
俺の中の何かが、
伝えることができなかった気持ちが、
行き場を失った気持ちが、
「~っ、麻子なんて好きじゃねーよ!!」
─溢れた。
「も…とや、何言って─」
俺のいきなりの爆発に驚きの色を隠せず、大きく目を見開く翔太。
「元……?」
後ろから聞こえた、か細い声。
ふりかえった俺の目を見開かせたものは…
階段の影から姿を現した、呆然と立ち尽くす、麻子の姿。