ラスト・ゲーム
俺は、何が起こっているのか理解出来ない翔太を一人そこに残して、階段を走り降りた。
自分でも自分が何をしているのか、何がしたいのか…わからずに。
どうやって家に帰ったかも、覚えていない。
…ただ、麻子と二人で歩いた道を、笑いあって帰った道を。
俺の体が覚えていた。
ドアを開けるのも重く感じる腕。
『後悔』といううらめしい気持ちが、ただ押し寄せては俺にのし掛かっていく。
取り返しのつかないことをしたのだということを、俺に何度も認識させるように。
脱け殻のごとく靴を脱ぎ捨て、居間の冷蔵庫から水をとりだしコップに注いだ。
それを一気飲みしたところで、後悔の念は洗い流されはしなくて。
俺は二杯目を、コップに注いだ。