ラスト・ゲーム
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気が付くと、身体はベッドの上にあった。
いつの間にか眠っていたんだろう。
のみ終えたコップが僅かな雫を湛えて、足元に転がっていた。
意識がまだおぼろ気なボサボサ頭を撫でつけながら、空のコップ片手に一階へと向かう。
「元也」
ドアを開くとすぐに現れたのは…優しい笑顔の親父の姿。
親父が帰る時間はまだ随分先のはずで。いつもはあるはずのない彼の姿に驚いて、コップを落としそうになった。
「今日は仕事が早く終わってなぁ。家族で晩御飯食べれるの、久しぶりだ」
そう言って、本当に嬉しそうに笑う親父。
…この人は、本当に太陽みたいだ。
─眩しい。
眩しくて、羨望すら抱く。
親父にすらそんな汚れた思いを抱える自分に、心底嫌気がさした。
いつもなら親父の顔を見ると気分が晴れるはずの俺の単純な心も、今日は例外で。
なにも答えない代わりに、ダイニングのテーブル椅子に腰をおとした。