ラスト・ゲーム
「今日は部活ないの?珍しいわね」
母さんは俺の昼食を準備しながら、俺がわざと頭から吐き出した話題を呼び戻す。
「…あ~、今日なんか体だるいから、寝てるよ」
俺もテレビを見るのに一生懸命なふりをして、答えた。
「あら、バカは風邪ひかないっていうのにね」
母さんは味噌汁の味見をしながら、「子どもに言ってはいけないセリフベスト100」には入るであろう言葉を俺に差し向ける。
「…悪かったな」
「悪くないわよ?元也はバスケと健康しか取り柄がないから、少ない取り柄がなくなっちゃったら可哀想だなって思っただけで」
…母さんはベスト100を何回使うつもりなんだ?
でも本当は風邪なんかひいてないし、いくら塞ぎ込んでも体だけは異様に元気な自分に、無性に腹がたった。
「どれどれ」