ラスト・ゲーム
いきなり、母さんがおれの額に自分の額をくっつけた。
「───!」
ほんとは俺が健康なことや、それだけじゃなく…今の俺の心の黒さまで感じ取られそうで、ドギマギしている自分がいた。
気付きませんように…
「…ふむ。ちょっと熱いわね…ご飯食べたらすぐ寝ときなさい」
…少し熱いのは寝過ぎたからだと思うけど。
心底ホッとした俺は、やっと朝食…いや、昼食に箸をつけた。
「元也!お母さん今日用事あって出掛けなきゃなんないけど、一人で大丈夫?」
玄関の方から母さんの声がした。
「…大丈夫だよ、バカだけど高校生なんだから」
母さんの笑う声が明るく響く。
「晩御飯までには、帰ってくるから」
彼女の足音が遠退いて、やがて玄関のドアの閉まる音がした。
…家には俺一人。
静かにしていたら気持ちがさらに落ち込みそうだったので、俺はすぐにテレビをつけた。