ラスト・ゲーム


テレビの中の、美人だが話しかけにくそうなオーラを放つキャスターが、ニュースを読んでいる。

「今日の天気についてですが、真夏並みの気温です…暑さ対策には十分お気をつけ下さい─」


…真夏並み。

温暖化の影響だろうか。地球も狂ってるな…



最近の俺も狂ってる。



丁度昼御飯を食べ終えた時、時計の針は…部活の始まる時間を指していた。



二階に戻った俺は、することもなく、ただ寝転がって雑誌やマンガを開いた。
内容が頭に入ってくることはなかったが。

気にはしまいと思っても、やはり何度も時計を見てしまう。


時を明確に刻む秒針に、生まれゆく罪悪感。


(俺、バスケやらないと何にもないんだな…)


改めて、そんなことに気付いた。



ふと携帯に目を落とすと、″着信アリ″の文字。




″朝霧 翔太″
″朝霧 翔太″
″朝霧 翔太″






翔太から六件も不在着信があった。


─リダイヤル……


俺の親指は、そのボタンを押すこともできなくて。
俺は再び携帯をベットの足元に放り投げた。



部屋にいるとやはり気は滅入るばかりで、俺は″真夏″の暑さとやらの、庭へと出ていった。




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