ラスト・ゲーム




「あっつ…」


まだクーラーの効かない部屋のベットに、俺は再び倒れこんだ。

猛暑の中がんばりすぎたのか、急激な眠気が俺を襲う。


プルルルル…プルルルル…


意識の遠のく中、かすかに電話の音が鳴り響くのが聞こえた。



プルルルル…プルルルル…


──眠い。


電話の音はなかなか鳴り止まなかったが、しばらくするとプツっと切れて。



シン…と空気が息を潜める。


それと同時に、俺も意識を手放した。





………





─ガチャっ



玄関の、ドアノブの音。



(…親父が、帰ってきた)



時計の短針は、9の所を指し示している。


まるで転げ落ちるかのように、急いで階段をかけ降りた。



「親父!」


「おお、元也。ただいま」


ふりかえった親父は、俺にいつもの笑顔を向ける。


─あの、優しい笑顔を。




そうだ、昨日のこと、早く謝らなきゃ。






「親父……昨日はごめ─」

─プルルルル…プルルルル…



……





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