ラスト・ゲーム
電話の無機質な音が、俺を現実に引き戻した。
(……夢…か?)
目を開くと、おぼろ気な視界にベッド上のしわくちゃになった布団の上に伸びた二本の足が映る。
先程見た、親父の笑顔がうっすらとぼやけた。
…どうしてだろう。写真のように、うまく焼き付けられない。
早く親父に会いたい。
─そして、謝りたい。
プルルルル…プルルルル…
続く電子音が、耳を通して脳に直に付着する。
…電話の音は、まだ鳴り止まない。
ため息を一つ二つつき、無視を決め込んだ俺。
プルルルル…プルル…ッ
やっと途切れた。
落ち着いて布団に潜り直し、心地よい疲れの中で、目をつむろうとする。
─プルルルル…プルルルル…プルルルル…プルルルル…
そこでまたしても、例の呼び出し音。
「…どんだけしつこいセールスだよ……」