ラスト・ゲーム





『君は本当に…敦也に似ているよ』






…似てなんか、ないよ。



こんな汚くて、すさんだ俺は…少しも……これっぽっちも…親父に似ていない。



大事な人を傷つけ、そんな自分を自分で受け入れられない……

そんな俺は、








親父に、似る資格すら…ないんだよ……









ハンカチから漏れる、母さんの嗚咽は、一向に止まない。



…いつか小説で読んだことがあった。

ある女がいて、その大事な人が死んで、それでもそのことを人に告げる時…婦人は穏やかに笑っていたと。

でもその穏やかな笑みの下。テーブルの下でハンカチを握りしめた手はちぎれんばかりに震えていて。



感情を露にしない、それが美学だと。




…そうかもしれない。



それでも、愛しい人を思って流れても枯れない涙は…悲しみを露にした母さんの横顔は、美しいと思った。



美しくて、儚くて。



ただそんな彼女を横にして、何も出来ず立っている自分がいた。





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