ラスト・ゲーム
親戚の人々が、ハコの中に手紙やら、思い出の品の様なものを入れていく。
「あっちゃん…ありがとうなぁ…っ…」
「天国で……見守っていてくれな……」
ハコの周りにたかる人々は、とめどなく涙を流しながら…その中に花をくべていった。
(…ありがとう)
─違う、
(…見守っていて)
─違う、
─違う。
…これは、親父なんかじゃない。
「…元也も……お父さんに…最後に何か…言って、あげて……」
母さんがしゃくりあげながら、ただ拳をきつく握り締めて、棒立ちになる俺にそう告げる。
…最期に、一言?
──一体、何を?
俺は…その『ハコ』に近づくことが……
出来なかった。
″敦也と一緒に…送り出して欲しい…″
焦げ茶色に丸く光る、ボールをまだ俺の手に残したまま……
″親父″は、旅立った。