ラスト・ゲーム

―…全部、偽りない、本当のことを…話した。


「そうか…」

カバはただ頭を垂れたまま、静かにそう言った。


「…確かに、俺が……我慢すれば、何事もなく済んだかも、しれない。…いくらなんでも、相手をあそこまで殴り倒すなんて…正当防衛には全然ならないって、わかってるよ……」


俺は、少し黙って…拳を、固めた。


「…自分でも……、自分が…怖いんだ…っ!」



治まっていたはずの震えが、また戻ってくる。




「父さんがいなくなってから……俺、俺じゃなくなっていく………っ…もう…どうしたらいいか、わからないんだ……っ!」



―せきをきったように、言葉が溢れだす。



そんな俺の肩に、カバはそうっと…手を置いた。



「早水、落ち着け…!」


肩にのった手に、力がこもる。


「早水は、早水だ」


カバは、しっかりとそう言った。




「…だってお前、来てくれたじゃないか…!部員のために、こんな夜に走って…正直に、話してくれたじゃないか…っ!」


カバの目が、潤んでいるのがわかる。



「お前は……、俺のよく知ってる…早水元也、だよ」




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