ラスト・ゲーム



言葉を、見つけられなかった。


…どうしても、何をしても拭いきれない後ろめたさを感じて、麻子にちゃんと正面から向き合える自信が…なかった。




「女子の試合、さっき終わったの」

麻子は一人で話続けた。


「三回戦までは勝ち進んだんだけど……リーグの入れ替え戦には、負けちゃった。…でも後悔はしてないよ!」


麻子の話を、ただ…聞くだけだった。



…なあ、麻子……


今の俺は、もうあの時の、……麻子と「がんばろうね」って約束した、あの時の…″早水 元也″じゃないよ……


「…あ!あたしね、元に教えてもらった、バックシュートも決めたのよ!」

麻子は笑顔を作って見せた。



「……えっと…それから、……それから…」



麻子は、必死で話題を…探していた。


…こんなに汚い、俺のために。



「…それから―…っ」





……麻子の声が、止まった。

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