ラスト・ゲーム
─静まり返る、俺の部屋。
俺のために、必死になってくれる麻子に…
…俺は何をしてやれるというのだろう。
俺にできる一つのことは、
たった一つのことは、
麻子を……窮地にまで陥った俺から、突き放すこと。それだけだ。
じゃないと、麻子まで染まってしまうから。
…真っ黒い、俺の心に。
意を、決した。
「…麻子、もう…帰れ」
「……え?」
麻子の、真っ直ぐな曇りのない瞳に、俺が写る。
「……俺は、お前に何もしてやれないから。もう…俺に、関わってくれなくていい。」
…お願いだから、
麻子は、
麻子だけは、
ずっと…その綺麗な、真っ直ぐな目のまままで…いて。
「………帰れ」
喉を切り裂くような、そんな痛みを堪えて…
最後の言葉を、
……発した。