ラスト・ゲーム
グルグルと同じ考えを巡らす間に、気が付けば二時まで、あと五分を切った。
…ふと、長い間放っておいた、携帯が目に入る。
─もしかして麻子は、携帯にも連絡を入れてくれていたのだろうか…
親指で、電源ボタンを押した。
四角い画面が、表示される。
…携帯の画面の時計が、
2時へと
変わった───
…その時だった。
俺の携帯が、俺を待っていたかのように、震えだしたのは。
いきなりのことに、驚きつつも、画面を見直す。
(もしかして……麻子?)
しかし、そこにあったのは…俺が全く知らない番号だった。
「…もしもし?」
いつもなら不審がって出ない、着信。
しかしこの時の俺は、何故か吸いつけられるように通話ボタンを押していた。
電話の向こうで、誰かが俺を呼んでいる──
「早水!!」
そしてすぐにそれが誰か、わかってしまった。
…田原だ。