ラスト・ゲーム
「行ってきます!!」
俺は、掛け声と共に家を飛び出した。
″守りたいものを、守れる……男に。″
…まだ俺に守れるものがあるなら、
…まだ俺には守りたいものがあるから、
親父、
俺は、それを守りに行くよ。
□□
木々の緑が眩しい。
日光がその葉を通り抜けて、優しい緑を帯びている。
走って乱れた呼吸を整えながら、俺は、一歩…一歩…体育館へと、近づいていく。
二時という暑さのピークを通り越した空。
それでも、まだその名残がサンサンと降り注ぐ。
休日の学校は静まり返っていた。
…ただ一つ、
体育館に跳ね返る、
バスケットボールの音を…
…除いては。