ラスト・ゲーム
心臓が、やけにうるさく波打つのがわかった。
″ありがとな″
乾ききった喉から、言葉を絞り出す。
「…おう。」
それからしばらく、主にバスケの話をして電話を切った。俺の将来の話も翔太は出してきたが、『安定した職につければいい』みたいなことをいってはぐらかした。
俺は翔太がうらやましかった。夢を語れるお前が、うらやましかったんだ。
眩しいとすら、思ってしまった。
…いや、俺の心はもっと汚くて、妬ましくも思ったんだと思う。
″ありがとな″
翔太、俺はお前に、そんなことを言ってもらえる資格はない。
乾ききった喉から漏れる息すらも……
かすれて、聞こえた。