ラスト・ゲーム
なのに、どうして俺に、笑いかけてくれるんだ?
……どうして、
俺の居場所を……残してくれるんだ?
涙はとめどなく溢れて、もう前が見えない。
部員たちの姿が白くぼやけた。
「……怒れよ…っ…!」
こんな、最低な俺を。
涙が落ちて、体育館の床に…弾かれた。
「俺を…恨めよ……っ!!」
最低で、最悪なヤツだって…けなせよ──
「なんで?」
そんな俺を目の前に、翔太はあっけらかんとして、そう言った。
「だって俺のせいで─!」
「俺が怒ってるのは」
…俺を遮って、言葉を続ける翔太。
「元也が、40分も遅刻したことだな」
そう言って、またニッと笑った。
みんなも、笑っていた。