ラスト・ゲーム


…俺は、大きく息を吸い込んだ。





「俺、お前らが好きだ」








一瞬静まり返った体育館は、まるで音が無くなったようだ。

ただ、夕日の色だけが残る。





「ありがとう。俺、お前らでよかった」



肺いっぱいにオレンジの空気を吸い込む。


…自分の頬に、一筋の涙が流れるのが分かった。



きっと、それは今までで一番きれいな涙。






「…俺も」

「俺もだ」



みんなが口々にそう言った。

…なんだかそれぞれ、笑っているのか泣いているのかわからないようなくしゃくしゃな顔で。




また体育館全体に広がり始める、笑顔の輪。


心がトクン、と波打った。



俺は上半身を起こして、点数板の所にいる麻子に向き直る。


その視線に気付いたのか…首を軽く傾けて、優しく微笑む。





「──麻子」





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