ラスト・ゲーム
真ん丸く揺れる、大きな瞳。
その光をわずかにも逃さないように、強く彼女を見つめ返した。
─麻子。今の俺の全部をぶつけるから、聞いてくれるかな。
お前に、聞いてほしいんだ。
俺は言った。
めちゃくちゃ大きな声で、叫んだ。
「麻子!俺、お前のこと、すんっっげぇ好きだ!!」
体育館全部に、響き渡る俺の気持ち。
広がる光景が、鮮やかに色を変える。
…麻子はそこに立ったまま、そして、叫んだ。
「あたしも元がすんっっげぇ好きだよ!」
そう叫んで、麻子はそのまま俺の元へ走ってくる。
俺たちは笑って、
涙で顔をくしゃくしゃにして、
また笑いあって、
そして…キスをした。
″大好きだよ、麻子″
「…他でやれっての!」
翔太が笑って、俺に蹴りを入れた。
みんなも笑った。
……みんなで、笑った。
─夕日で赤く染まった体育館。
なぁ、親父。見てるかな。
これが、俺の、ラスト・ゲームだ。