ラスト・ゲーム
桜のピンク色がまた今年もここにやって来た。
グラウンドに落とした目線。柔らかな風がカーテンを翻しては、頬を撫でる。
校庭に並んで立つ桜を見るのもこれで三度目。とくに有名でもないこの街の、並みと言えるであろうレベルの城下高校の一生徒…早水元也。
それが、俺だった。
『今時の高校生ってヤツはやる気が感じられん!』とかなんとか言っていらっしゃる先生方もいるが、俺には俺をやる気にさせてくれるものがある。
…そう、それはバスケットだ。
今日も四月にしては暑いくらいの気候。背骨に沿って玉のような汗がツウ、と皮膚を伝う。
クラスの女子たちの会話によると、夏真っ盛りの八月よりこれから来る五月の方が、紫外線は強いらしい。
「知ってたか?」