ラスト・ゲーム
少年少女は、真ん丸い目をさらに大きく見開いて…しばらくの間、ポカン、と口を開けていた。
「……す…ごい……」
少年の口から、ポツリと漏れた言葉。
それが引き金になったように、次々と興奮気味の声が飛び出す。
「すごいお兄ちゃん!すごいすごい~!」
少女も体を揺らしながら一層に頬を赤く染めて、目を輝かせる。
麻子もそんな光景に微笑みを浮かべながら、俺たちの元へやって来た。
「ねぇ!お姉ちゃんたちと、バスケしよっか!」
ニッコリと明るい笑顔を放つ麻子に、二人は首が折れるほどにコクコク何度も頷いた。
「よ~し!じゃあ…修ちゃん?は元也のお兄ちゃんと一緒のチームね。後は女の子同士でがんばろっか!」
幼い笑顔を浮かべた二人は、始めたくて仕方がないように体を上下させる。
少年の丸い目の中に映り込んだ、茶色いボール。
─そして、元也チームと麻子チームの…
一戦が、始まった。