ラスト・ゲーム
…しかしどうやら少年はそれが悔しいようだ。
あからさまに顔にそう書いてある。
そんな彼の姿に、自然と柔らかい笑みが漏れ…眉が下がるのがわかった。
「修」
俺の声に、素早い反応を見せる少年。
「次は俺がパスを出すから、修はシュート打てよ。こうやって…手を返しながら打つんだ。」
身振り手振りでやってみせると、少年は不安そうにポツリ、呟いた。
「…でも……入るかなぁ」
少年…修の頭を、軽くコツンと小突く。
そう、いつも親父が俺に…そうしたように。
「大丈夫だよ」
□□
─踏みしめる地面。
麻子のディフェンスを交わそうと、と慌ただしく回転する足元で、砂ぼこりが舞う。
徐々にゴールへ近づき、シュートをする体勢へと持っていく。
素早くついてきて俺のシュートを阻止しようとする麻子。
その動きを捉えた瞬間、俺は叫んだ。
「修!!」