ラスト・ゲーム



坂の上にある、親父の場所に視線を移す。



…緑が揺れる。



まるで貼り付けられたように…そのままじっと、一点を見つめていた。





…なぁ、親父。





…いいよな………?






俺たちの最後の試合を見守ってきたボール。


俺の




…そして親父の




『ラストゲーム』を見てきたボール。





目線をそのまま、空に投げた。





″これでいいんだよな、親父……″




これからも、


ずっと



ずっとずっと…






そのボールが、幾つものラストゲームを…


見守っていてくれますように。





視界に入りきらない、澄んだ青空。



…その空が、優しく…笑った気がした。









< 207 / 209 >

この作品をシェア

pagetop