ラスト・ゲーム
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もう一度机の上にある一枚の紙と向き合う。
―H大学 経済学部―
俺の手の中のシャーペンは、その文字を力強く刻んでいった。
それは親父の行っていた大学だった。
今の学力はさておき、俺のなりたいものは……親父だから。
…守りたいものを、
守れる男、だから。
親父のような、守りたいものを、守れる男。
″…でも″
ベットに横になり、俺は親父の言葉を思い出しては反芻した。
″高校の時はバスケができればそれでよかった。″
今の俺と同じだ。
でも…いつかはそうじゃなくなる日がやってくるんだよな。
俺が嫌だと思っても、いくら止まろうとしてもがいても、大人になる日はやって来てしまう。
みんなとバスケで熱くなって、バカやって、夕暮れの河原をたわいもない話をしながらゆっくり歩いて…
それが過去になる日が、
やって、来るんだ。