ラスト・ゲーム
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「で、どうなってんのさ」
─昼休みの食堂。
俺の前に座った翔太は、ラーメンを口に運ぼうとした俺にいきなり問いただした。
「…どうって何が」
「麻子ちゃん」
「──ッ!」
…急な麻子の名前の登場に、俺はむせこんでラーメンをもう少しで吐くところだった。
「…ゲホッ、なんだよいきなり」
いまだむせ続ける俺を尻目に、翔太はにんまり笑って言った。
「正直に吐かないと帰さんぞ」
…刑事かお前は。
俺の昼食がラーメンじゃなくカツ丼だったら立派な取り調べになるところだった。
最も、翔太が刑事やら警察官やらになったら日本の未来は危ういと思うけど。
「…別にどうもねえよ」
いやらしくまとわりつく粘っこい視線を断ち切るように大袈裟な音を立ててラーメンをすすった。