ラスト・ゲーム
「何もねぇことはないだろ」
俺はカツ丼…いや、ラーメンの汁を飲み干した。
「…何でそう思うわけ」
「はたから見たら誰だってそう思うだろ」
「…ただ同じ部活だからよくしゃべるだけだよ」
…下手くそな言い訳だ。
「でも俺とかも同じ部活だけどお前とは違うだろ」
ズイ、と俺の方へ身を乗り出す翔太。
翔太はやはり、俺の下手な言い訳にはなかなか折れてはくれない。
「…部長同士だからじゃね?」
動揺しているのを知られたくなくて、俺はわざと明るい調子で言った。
「でも毎日一緒に帰ってるだろ」
「……方向一緒だし。てか向こうは別に俺のことそういう風には見てないだろ」
話を終わらそうとする俺に、翔太はまだつっかかった。
「でも」
「…なんだよ」
呆れ顔の俺に、翔太は真剣な顔でこう言った。
「向こうがどう思ってようが、お前は、麻子ちゃんが好きなんだろ?」