ラスト・ゲーム
笑いがおさまり少したった頃。
黒板の緑を見飽きた俺は、大きな欠伸を一つ御披露目しながら真っ昼間のグラウンドに視線を移した。
窓ガラスに反射する光が、白くて眩しい。
体育の授業をしているのは一年生だろうか。
まだ高校生になって一ヶ月も経たない彼らは、まだキレイな体操服を身にまとい、掛け声をかけながらグラウンドを走っている。
目を細めて、それをぼうっと見つめながら…思考を様々に巡らせた。
…麻子を思うと
胸がドキドキする
一緒にいたいと思う
帰り道がずっと続けばいいと思う
…俺だけに笑ってほしい、って思う。
あぁ、この気持ちはきっと。
″好きだ″
太陽がまぶしい、うなるような暑さの五時間目。
先生の教科書を読み上げる声と、グラウンドからの体育の掛け声。
そして麻子への思いだけが…
俺の中心に、響いていた。