ラスト・ゲーム

憧れ





『最近シュートが決まらないのよね』




□□



「じゃあ7時から開けてもらえるんですね?」


ちょうど先程、バスケ部顧問…通商カバの樺山先生相手に、俺の交渉が成立した。


試合に向けての朝練のための、体育館解放。



本当は三十分からなのだが、カバにうまいこと言って7時からにしてもらった。


麻子のため。

広い体育館を存分に使えばシュート練習もしやすい。

…とか最もらしく述べてみるけれど、実は俺が麻子といたいだけだったり。

我ながら自分の卑しさに苦笑した。



職員室から教室への足取りが、なんだかいつもより軽く感じる。


交渉の末手に入れたこの三十分を、俺は麻子と共有したいと決めていた。





< 33 / 209 >

この作品をシェア

pagetop