ラスト・ゲーム
□□
今日は暑い。
体育館は閉めきっているために熱気がこもって、その暑さをさらに煽っていた。
しかしその熱気が、かえって俺をやる気にさせる。
体育館の床に引き寄せられるようにポトリと落ちる、大粒の汗。
耳から入るのは跳ねるボールの音だけで、汗を拭ってはその音を追うように走り続ける。
練習メニュー。
フットワーク、パス練、シュート練習、3on3、1on1、3対2対1、試合形式練習。
…プラス麻子とのフリースロー対決。
麻子は女バスのキャプテンで、これがなかなか侮れないヤツだった。特にフリースローは、100発100中ってほどうまい。
残念なことにこちらの俺の確率はジュース10本中3本だった。
俺のサイフを軽くする麻子は…ムカつくけど、ちょっと、可愛い。
今日もいつものように練習後、麻子に近づいた時だった。
「麻子ちゃん切ったの、髪!」
俺より先に変化に気付いたのは翔太だった。