ラスト・ゲーム
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─ポチャン…
俺の蹴った石が、入水した水面を波立たせる。
「なんか元、眠そうだね」
いつもの帰り道…虚ろな目をシパシパさせる、俺の隣。
麻子が、首を傾けて小さく笑った。
試合が近づくにつれ、練習の厳しさも部員の覇気も格段に増していた。
─体育館に飛び交う、熱の塊。
それに輪をかけるように慣れない早起きをこなし、朝練にまで手を伸ばす俺の授業中の熟睡度は、もちろん格別の数値を叩き出していた。
「あ~…、うん。大丈夫」
「大丈夫じゃないでしょ」
…鯖みたいな目ぇしてたけど。そんなことを言って、麻子はイタズラっぽく俺を小突く。
「ねぇ、元。」
「ん?」
「朝の話の続き、して?」