ラスト・ゲーム
俺は勢いをつけて、力を振り絞って、飛んだ。
─後ろへ。
俺の手から、俺の全ての力がつまったボールが…真っ直ぐ、真っ直ぐ飛んでいく。
…入れ。
視界の全部が、スローモーション。
麻子の顔が、鮮やかに浮かぶ。
──入れ。
俺の強い気持ちがわかるのなら…入ってくれ。
一種の願掛け。
俺の祈りをのせたボールは、ぼんやりとした光の中に浮かぶかのように。
…まるで前から決められていたコースを辿るかのように。
─パサッ!!
ゴールに、納まった。
…そう、それはまるで、俺の麻子への気持ちを
確かめるかの、ように。