ラスト・ゲーム
『うまく、なった』
初めて言われたその言葉を、頭の中で、何度も…何度も反芻する。
どうしてかな。
…泣きそうだ。
「元也」
そんな俺の名を、親父が優しい声で呼ぶ。
「何があったのか、俺は知らない。…でも、お前はやればできる男だ。お前はお前の思うとおりに、やればいいんだよ。」
そして、闇に慣れた目には眩しいほどにくしゃりと笑った。
「なんてったって、お前は、俺の息子なんだからな」
″お前は、お前の思うとおりに。″
─俺は、俺の…思うとおりに。
自分は誰に劣るわけでもない。
自分の気持ちを、大事にすればいいんだ。
親父の笑顔に、言葉に、心のもやが晴れていく。
月は満月どころか半月寄りで。
ちっとも満たされていないその姿にも、切なさなんて感じなかった。
─半月も、いつかは満月になる。
親父がいてくれて、良かった。
俺が、「親父の息子」で、よかった。