ラスト・ゲーム
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「ふあぁぁ…」
下駄箱で上靴に履き替えながら、見るにたえないような大きなあくびをする。
指が三本は入りそうだ。
朝練のせいで、最近は毎日眠い。
…そんなこと言いつつ、相変わらず毎日目覚ましより早く起きてしまう自分を、全く不謹慎だな、と思う。
バッシュ、バスケットパンツなどで、パンパンに詰まったカバンを右肩に掛け、俺は階段を登った。
…教科書?
もちろん、机の中におきべんだ。
俺の教科書がすべて心地よく眠っている教室からは、ずいぶん機嫌の良さそうな弾けた声が響いていた。
─多分、声の正体は翔太。
ヤツは朝に強い。
昼の弁当にも強いし、夜更かしも余裕でこなす。
…つまりは根っからのお祭り男というわけだ。
今だ収まりをみせない教室の喧騒。
俺はもう一度だけ大きくあくびをすると、その教室へと入っていった。