ラスト・ゲーム
「もっとっやっく~ん」
…ハイ来た、お祭り男。
翔太は本当に機嫌が良さそうだ。朝からこのテンションでいられるとは全く尊敬に値する。
それに相反してテンションの低い俺は、机に突っ伏しながら低い声で答える。
「…何だよ」
「ん?今日は一段と眠そうだね、元也くん」
「……くん付けは、やめろ」
重いカバンをドスッと置いた俺の机に向かい合うように、笑いながら翔太も着席した。
「じゃあ~眠そうな元也にプレゼントっ!」
翔太は机の上に、コトンと缶コーヒーを置く。俺の机に、缶の表面に滴っていた水滴が落ちた。
…どうやらまだ冷えているようだ。
「…何たくらんでる?」
翔太は俺の机に乗り出しながら、笑いながら答えた。
「何も企んでねぇよ」
「…金なら、ねぇぞ?」
「…1000円でいいんだけど」
しかめた俺の表情を見てとると、翔太はウソだよ、と言って、また可笑しそうに笑った。