ラスト・ゲーム
どちらも譲る気は、さらさらない。
一進一退を繰り返し、長い戦闘に呼吸が乱れる。
…すでに俺たち二人の時間は終わりを告げようとしていたが、二人の勝負は終わりの色を一向に見せない。
途切れる呼吸。
小刻みに動くバッシュが、床の上でキュッと音を立てる。
麻子の真剣な目と、俺の硬い意地は、どちらがどちらを貫くわけでもなく、ただ身体中に血が凄い勢いで巡っているのを、感じた。
─その時だった。
麻子が俺の右腕の小さな隙間に、強引に、ねじ込んできたのは。
俺も引かなかった。
体全体で、麻子にぶつかる。
そうそれは─まさに電光石火のごとく、
その衝撃で、麻子は後ろに倒された。