ラスト・ゲーム



─乱れたままの呼吸。


…汗がびっしょりとTシャツを濡らしている。


二人とも真剣すぎたため、何が起こったのかわからずにしばらくポカンとしていたが、床に転がったままの麻子が、先に笑いだした。


「…もう~しんどすぎっ」


そんな麻子に俺も溜め込んでいたおかしさや楽しさやらが込み上げた。


「ははっ、麻子、顔赤ぇーよ!」

「元のが赤いよっ!」


二人とも赤い顔をして、なんだか楽しくなって、嬉しくなって、笑った。



「大丈夫か?ごめんな」

俺は床にしゃがんだままの麻子に、手を差し出す。

「ううん、全然」

麻子も、俺の手を、握った。



…麻子の熱が、伝わってくる。


俺を見上げる麻子の顔は、やっぱりまだ頬が染まったままで。


─ものすごく可愛くて


─愛しくて


……俺は。







″好きだ″






たった三文字の言葉が、胸に詰まって…出てこない。


「……元?」


不思議そうに、麻子が俺を見つめる。




…吸い込まれそうだ。







″麻子、好きだ″




「……麻子、俺………っ」







─バンッ!





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