ラスト・ゲーム
「元、追試どうだった~?」
『ついし』に大袈裟なアクセントを置いて、翔太がにんまりと近づいてきた。
とりあえず翔太に一発お見舞いしてから、俺はうつ伏せになって自分の机に寝そべる。
頬と接した机は、生ぬるい温度を保っていた。
″朝話せなかった分、帰り道はいっぱい話そう″
…そんなことを思いながら、目を閉じる。
最近、麻子のことばっかりだな…俺は。
勉強とか、もっとしっかりやらなきゃいけないことがあるのに、何もかもに中途半端な自分に少し情けなくなった。
こんな俺じゃ、麻子に気持ちを伝える資格はないんじゃないか…?
どこかにそんな気持ちがあるから、まだ言えないのだろうか。
麻子のことが、″好きだよ″…って。